細菌性膀胱炎とは
女性の膀胱炎で一番多い疾患です。健康な状態ですと、菌は尿と一緒に体外へ流されます。しかし、疲労などで免疫力が下がった状態ですと、大腸菌などの菌が尿道を通って膀胱(尿を一時的に貯蔵する部位)の中へ侵入し、感染することがあります。これが「膀胱炎」です。
「トイレに行く回数が多くなった」、「排尿した後にしみるような痛みが出る」、「尿を出すときの不快感」などの症状があると、膀胱炎の可能性があります。
女性は男性よりも尿道が短いため細菌が膀胱内へ侵入しやすく膀胱炎になりやすいです。
体調不良で免疫力が低下したりトイレを我慢したりすると、膀胱内で細菌が増殖し、膀胱炎の発症リスクが高くなります。
女性に多い膀胱炎
膀胱炎の原因になるのは大腸や直腸に存在する菌が多くを占めています。、女性の尿道は男性と比べて短く、3~4㎝程度の長さです。そのため、身体の構造上、菌が膀胱内に侵入しやすくなっています。
また、細菌性の膀胱炎以外にも似たような症状を認めるものもあります
間質性膀胱炎
膀胱に原因が分からない炎症が起こり、膀胱や腹部に痛み、頻尿、残尿などが現れる病気です。
症状が現れるのは40歳以上の女性に多く見られます。
頻尿や尿意切迫感などの症状、膀胱あたりの痛みがある方、特に尿が溜まってきたら恥骨の上が痛む事があるという方は、間質性膀胱炎の疑いがあります。
検査で異常が見られる事はほとんどありませんが、膀胱鏡検査で特徴的なハンナー潰瘍もしくは膀胱拡張時の特徴的な点状出血が診られた場合は、 間質性膀胱炎と確定診断が下されます。(しかしこれらの症状が診られなくても、間質性膀胱炎と診断された場合は治療を行う場合もあります)
治療の難易度は高く、水圧拡張術、薬物療法などを行いますが、決まった効果を得る事はできません。
細菌性膀胱炎と診断され長期間の抗生剤投与や過活動膀胱と診断され抗コリン剤の投与を受けていても、症状が改善せず複数の医療機関に頼っている方もいらっしゃいます。
医師が間質性膀胱炎を疑わない限り診断される事がないため、疑われる症状が現れた方は泌尿器科を受診してください。
GSM
(閉経関連尿路性器症候群;Genitourinary Syndrome of Menopause)
閉経に伴い、女性ホルモンが減少することで生じる外陰部の不快な症状のことです。
症状には性器(外陰部や膣)の症状と排尿症状に分かれます。
性器症状 | 膣の乾燥感、かゆみ、におい、灼熱感、性交時痛 |
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排尿症状 | トイレが近い、尿漏れ、繰り返す膀胱炎 |
などです。
閉経後女性の半数に生じると言われています。日本では羞恥心や病気と思わずに放置してしまう傾向がありますが適切な治療をすることで症状を改善させることができます。
治療法には、保湿、女性ホルモンの軟膏、骨盤底筋体操、レーザー治療などがあります。
当院は骨盤底専門の女性看護師による骨盤底筋体操やレーザー治療など幅広い治療をご提案できます。このような症状がございましたら気兼ねなくご相談ください。
症状
頻尿
尿意を感じやすくなるため、トイレに行く回数が多くなります。1回あたりの尿量が少なくなることもあります。症状が重い患者様の場合、10分前後に1回の頻度でトイレに行きたくなる上に、残尿感を伴う方もいらっしゃいます。
尿混濁
「炎症を起こした膀胱の粘膜が剥がれたもの」や「白血球」が混じると、尿が白く濁ります。細菌が尿の中で繁殖することが原因で、中には、膿っぽいものが混じる尿もあります。また、尿の臭いも強くなりやすいです。
血尿
膀胱粘膜が細菌によって傷つけられると、粘膜から出血し血尿となります。。膀胱炎が原因で起こる血尿は、排尿終末時血尿であることが多いです。
これらの症状を我慢して治療を受けずに過ごしてしまうと、排尿以外の時でも下腹部痛が起こります。
また、膀胱炎を放置してしまうと腎臓に細菌が侵入し腎盂腎炎を発症することがあります。そうすると、腰痛や発熱などが起こります。その場合は速やかに医療機関へ受診しましょう。
診断・検査
まずは尿検査で、中間尿(途中の尿)を採取していただきます。中間尿を採取する理由ですが、排尿始めの尿にはおりものなどが混じりやすいためです。
また、導尿(細いカテーテルを尿道の出口から挿入し採尿する方法です)を行うこともあります。尿から基準値以上の白血球数や細菌が出た場合は、膀胱炎の診断が下されます。精密検査が必要な場合は、尿にいる細菌を培養し、菌の種類を調べる検査も受けていただきます。
治療
細菌の増殖と炎症を治療する必要があります。抗生物質を服用して、体内にいる雑菌を死滅させる投薬治療を受けていただきます。
抗生物質を数日~1週間ほど服用し続けることで、症状は落ち着きます。また、症状を緩和させるために漢方を用いることもあります。
急性膀胱炎の際は水分を多く摂取し、排尿を促すことで改善できます。過度なアルコール摂取は避けてください。